【逐語訳】
矢島重成宛の書状と手形案文を披見した。太米のことついては、先月15日に幕府勘定奉行である松平正綱殿と伊丹康勝殿へ申し入れ、両人から年寄衆へ相談の上折紙を下されたので、小早を申し付け、そちらからの飛脚に一人添えて送った。まだ着いていないか。心もとなく思う。悪い慣わしである。ことさら先年田中改易後の筑後を支配した代官衆から御蔵へも太米の勘定があったことなので、弁解なく渡される様にとの松平正綱・伊丹康勝から竹中重義殿への折紙である。きっと近いうちに着くであろう。また、□※のことは少しの混雑は仕方ないことである。竹中重義殿へ払ったくらいにして、早々に解決するのがよかろう。岡田善同殿も美濃へ御用があって一両日前参られた。話し合いには及ばないので、早々に京升での計算で請取手形を取り、解決するつもりだ。自分も明年大坂御普請を仰せ付けられ、暇を下され江戸より下ってきている。こちらは少し手間取っているので、当月中には筑後へ帰着するだろう。そちらは早々手すき次第に帰国せよ。竹中重義殿からの手紙その他懇切であると書中で御礼を申し入れた。万事以来岡田殿との算用次第であるが、こちらは少しの混雑は竹中殿の指図次第で早々解決するだろう。追伸。そちらは一刻も早く解決して、早々に柳川へ帰国せよ。こちらも万事状況がよく、御両所様が暇を下され、先の28日に大坂まで下ってきている。大坂御普請のことは、京都方々であるので(京都の近くなどでの意ヵ)、近国の御譜代衆は皆残らず望まれる様子であるので、我々も急な事ではあるが仰せ付けられ、そのようなことをこちらで申し付け、10日時分は出舟するつもりである。最早少しの混雑のことはこちらへ尋ねるに及ばず、結着して帰国せよ。
※:キレ(破損のため判読不明) |