長光は鎌倉時代中期の備前長船派の祖、光忠の子で父に並ぶ名工として知られています。
本作は鎬がやや低く穏やかな姿の細身の剣です。表鎬上には三鈷剣が彫られ、裏に細い樋(溝)を通しています。茎表に楷書に近い書体で「長光」という小振りの銘があります。
この剣は伝承によると天正9(1581)年秋、筑前岩屋城主高橋紹運が長男宗茂(統虎)を戸次道雪のもとに養子に出す際、出立にあたって宗茂に与えたものとされています。剣を渡す際、紹運は「今後はこの紹運を父と思わず道雪公を父と思うように努めよ」と諭し、もし自分が道雪公と敵味方の間柄となったときはこの剣でもって討ち取るように、と宗茂に言ったと伝えられています。 |